健康診断、特にCTスキャンなどの放射線検査は、現代医療において不可欠な診断ツールとなっています。しかし、こうした検査に伴う放射線被曝のリスクについて、私たちはどれだけ理解しているでしょうか。
最新の研究によれば、CTスキャンは医療被曝の最大の原因とされていますCTは一般人口への医療放射線被曝の最大の源であり、がんリスク増加の潜在的な原因と考えられています 。さらに驚くべきことに、2023年に米国で実施された9300万件のCTスキャンから、10万3000件のがん診断、つまり全がんの5%がもたらされる可能性がある NPRという推計も発表されています。
日本における医療被曝の特殊事情
日本は特に医療被曝の問題が深刻な国とされています。日本のCT装置の数は世界で断然1位であり、全世界の設置台数の1/3以上を占めています。1993年に8000台だったCT装置は、2003年には14000台に増加しました 。
さらに国際比較研究によると、日本は先進国の中で人口当たりのCTスキャナー数が最も多い国 OUP Academicであることが明らかになっています。この状況は、必ずしも医療の質の高さを反映しているとは言えません。
CTスキャンによる放射線量とリスク
一般の方々が意外と知らないのが、CTスキャンの放射線量の高さです。胸部X線検査が0.1mSvの放射線を届けるのに対し、胸部CTは7mSv(70倍)もの放射線を届けます 。
このような高線量の放射線は、特に子どもや若年層に大きな影響を与える可能性があります。CT検査による生涯がんリスクは、スキャンを受ける1000人につき約1例のがん、最大で500人につき1例のがん Cancerと推定されています。
医療機関が語らない真実
これらの事実にもかかわらず、多くの医療機関はCT検査の安全性を強調し、リスクについては十分に説明していません。米国放射線学会は「CTスキャン(複数のCTスキャンでさえも)とがんを直接結びつける公表された研究はない」と主張しています 。
しかし、最近のヨーロッパでの大規模調査では、今日スキャンを受ける10,000人の子どもたち(平均線量8mGy)のうち、1〜2人がCT検査に起因する血液悪性腫瘍を発症すると予想されています 。
必要のない検査の増加
医療被曝問題の核心は、必ずしも必要ではない検査が増えていることにあります。最近の研究の著者らは「CTの使用は増加し続けており、『低価値スキャン』と呼ばれる正当な医学的理由なしに行われる画像検査の懸念すべき増加」を指摘しています 。
専門家たちの間では、日本で行われているCT検査の多くは、外傷関連の適応よりも頭蓋や腹部のCTスキャンが有意に多い OUP Academicという指摘もあります。
賢い医療選択のために
医療被曝のリスクを最小限に抑えるためには、以下のようなアプローチが推奨されます:
- 検査の必要性を医師と十分に話し合う
- 可能な場合は、超音波検査やMRIなど放射線を使用しない代替検査を検討する
- CTスキャンを受ける場合は、低線量での実施を依頼する
- 自分の受けた医療検査の記録(特に放射線検査)を保管する
まとめ
健康診断やCTスキャンは、適切に使用すれば命を救う重要な医療ツールです。しかし、その潜在的なリスクを理解し、必要な場合にのみ選択的に活用することが賢明です。医療は常にリスクとベネフィットのバランスの上に成り立っています。患者として自分の健康に関する決定に積極的に参加し、十分な情報に基づいた選択をすることが重要です。


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