高血圧を予防する塩の秘密とは?ミネラルバランスの重要性

塩と健康の関係について、私たちは「塩分の摂りすぎは高血圧の原因になる」という情報を頻繁に耳にします。しかし、塩の種類によって体への影響は大きく異なることをご存知でしょうか。本記事では、塩の種類による違いとミネラルバランスの重要性について解説します。

目次

熟成発酵塩の特徴

皇帝塩などの熟成発酵塩の成分組成を見ると、カリウム、マグネシウム、カルシウムの含有量が多いことがわかります。これらのミネラルが塩の特性と体への影響を大きく左右しています。

人体の細胞では、細胞外液にはナトリウムイオンが、細胞内液にはカリウムイオンが存在し、両者が協調して働くことで細胞機能を高めています。カリウムは、イモ類、豆類、魚、肉、緑黄色野菜などに多く含まれ、7種類の必須ミネラルの一つとして重要な栄養素です。

カリウムには、体内のナトリウムの排泄を促進する効果がありますが、同時にカリウム自体も排泄されるため、体内のカリウム量は減少していきます。このため、カリウムとナトリウムを同時に摂取することで、ナトリウムの過剰摂取を防ぎ、ナトリウムが引き起こす細胞縮小作用(高血圧の原因の一つ)を抑制できるのです。

さらに、カルシウムやマグネシウムが加わると、細胞膜が強化され、ミネラルバランスが整います。これが、野菜サラダやスイカに塩を振ると美味しく感じる理由かもしれません—これは体がカリウムとナトリウムの同時摂取を求めているからでしょう。

理想的な塩とは

ミネラルバランスが理想的に整った熟成発酵塩は、人体機能を高める「命のための本当の塩」と言えます。このような自然海塩は塩辛さが少なく美味しい塩であり、日本人が長年食べ続けてきた伝統的な塩です。

しかし、専売制度により昔ながらの塩田は消滅し、現在では自然海塩を製造することが難しくなっています。そのため、市場では自然海塩の成分を模倣し、ミネラルを人工的に添加した塩が販売されていますが、残念ながらこのように後から添加されたミネラルは体内でほとんど吸収されません。

吸収されないミネラルを含む塩では、ナトリウムとの相互作用が機能せず、結果として高血圧などの健康問題を引き起こす可能性があります。そのため、イオン交換膜製法と記載された塩は、自然塩を思わせる商品名でも実質的には全く異なる製品だということを覚えておく必要があります。

ミネラルの吸収メカニズム

ミネラルが体に吸収されるためには、水に溶けて水分子と結合した状態になることが必要です。水分子と結合できる形状になって初めて、ミネラルは水と一緒に吸収されるのです。このような状態を「イオン化」または「電解状態」と呼びます。

ナトリウム塩やカリウム塩は比較的イオン化しやすいですが、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などはイオン化しにくく、体内への吸収率が低いため不足しがちなミネラルです。

人体の体液や血液は電解質のバランスで成り立っているため、塩として摂取する場合、その電解質バランスを整えることが重要です。これまで塩の害として指摘されてきた問題の本質は、体内での電解質バランスを考慮していなかった点にあります。

イオン化(電解)とは、簡単に言えば水に適切に溶けている状態のことです。水分子が電気を帯びているため、ミネラルが水分子に取り込まれて水溶液になります。この状態が人体にとって最も吸収しやすい状態なのです。

体内の水分バランスとナトリウムの役割

ナトリウムの役割について考えてみましょう。ナトリウムには細胞を締め付ける作用、つまり細胞に対して脱水作用があるため、細胞から水分が抜かれて萎縮します。確かに、塩辛いものを多く食べると一時的に血圧が上昇することは事実です。

しかし、だからといってナトリウムを悪者にしてはいけません。「細胞を締め付ける」のはナトリウムが担う非常に重要な働きであり、この作用によって私たちは体内の水分バランスを保つことができるのです。

ナトリウムが細胞を締め付ける本来の目的は、他のミネラル類との協調によって細胞組織の内側と外側の浸透圧を一定に保ち、体内の水分バランスを維持することにあります。

体内の水分が不足すると、体内のナトリウム濃度が高まります。すると、ナトリウムが細胞を締め付け、その信号が「渇き」として脳に伝わり、私たちは「喉が渇いた!水が飲みたい!」と感じるようになります。体内に必要な水分が入ると、ナトリウム濃度が薄まり、他のミネラル類の働きによって萎縮した細胞は元に戻り、細胞内外の水分バランスも正常化します。

つまり、ナトリウムは多くの必須ミネラルの中で、体内の水分バランスを保つためのセンサーであり司令塔として機能しているのです。このとき、ナトリウムと共にチームを構成するカルシウム、カリウム、マグネシウムなどのイオンがチーム内に十分に存在していれば、ナトリウムの脱水作用は過剰にならず、それぞれが適切に機能します。こうして血圧をはじめとする人体機能は常に一定に保たれるのです。

自然海塩の解毒作用

赤ちゃんの肌がつるつるでみずみずしいのは、赤ちゃんの体の75%が水でできているためです。人体は46〜75%が水分で構成されており、成長するにつれて水分率は徐々に減少します。若い男性では64%、女性では約53%が水分です。女性の方が水分が少ないのは、体脂肪が多いためです。年齢を重ねるとさらに水分は減少し、シワが増えていきます。

もちろん、水分含有量には個人差があり、その違いは細胞の保水力によるものです。私たちは毎日水を飲んでは排出することを繰り返し、体内の老廃物を排出しています。そして、体内で作られる水の量と排出される水の量のバランスは常に一定に保たれています。この老廃物を排出しながら水分バランスを維持しているのが、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどの必須ミネラル群なのです。

むくみ、吹き出物、肌の乾燥、セルライトなどの問題は、塩や微量ミネラル群の不足が大きく関わっていると考えられます。

浸透圧と体内バランス

ミネラルが体に吸収されるためにはイオン化していることが必要です。また、細胞は細胞外壁と細胞内壁から構成されています。この内液と外液には、ナトリウムやカリウムなどのミネラル群がすべてイオン化した状態で存在していることが不可欠です。

「固体でもイオン化した状態で存在している」ことが重要であり、単に混ざっているだけでは効果がありません。イオン化したミネラル塩でなければ体に吸収されないのです。細胞内のミネラル群と同じ形状であるからこそ、体にスムーズに吸収されます。

化学的に言えば、イオンとは中性の原子が電子を失うか得ている状態を指します。電子を失った状態のイオンを陰イオン、電子を得たイオンを陽イオンと呼びます。体液にはこの2種類のイオンが混ざっていますが、電気的中性の法則によって、常に陽イオンと陰イオンのバランスは保たれています。

水の交換が可能な体液の部分も、等浸透圧の法則によって浸透圧は等しく保たれます。水分は体液部の細胞内外を自由に行き来できるため、浸透圧の調整役として機能しています。つまり、体内のどこかで浸透圧に変化が生じると、水分の移動によってバランスが回復されるのです。こうして「電気的中性の法則」と「等浸透圧の法則」によって、体に入る水分と出ていく水分のバランスが常に維持されています。

喉の渇きと水分バランス

体内の水分バランスを保つナトリウムにとって、他のイオン化されたミネラル群は不可欠です。運動したときに「喉が渇いた!水が飲みたい!」と感じたり、水を飲みすぎると「トイレに行きたい!」と感じさせるセンサーの役割を果たしているのがナトリウムであり、人体は体内の水分量を常に一定に保とうとしています。

水分が不足すると、細胞外壁のナトリウム濃度が高まり、浸透圧が強くなります。すると外液と内液の間には浸透圧を一定に保つ力が働き、内液から外液へ水分が引き寄せられ、細胞内の水分が減少して細胞が締め付けられます。

この浸透圧の上昇は信号となって水分を排出する抗利尿ホルモンが分泌され、同時に喉の渇きの信号が脳に送られます。その結果、私たちは喉の渇きを自覚し、不足した水分を補うために水を飲みたくなります。

逆に、水分を摂りすぎた場合は全く逆の作用が働き、抗利尿ホルモンの分泌が抑制され、尿の排出が促進されて過剰な水分は体外に排出されます。

血圧コントロールのメカニズム

塩分の多い食べ物をたくさん食べると喉が渇きますが、これはどういうメカニズムなのでしょうか?

塩辛いものを食べると、細胞外壁に多量のナトリウムが入り、ナトリウム濃度が高まって浸透圧が上昇します。すると浸透圧を一定に保つため、細胞内液から細胞外液へと水分が移動します。つまり、細胞内から水分が引き出され、細胞全体が締め付けられ、血管の筋肉も締め付けられて血管が細くなります。

この状態を正常に戻すため、脳からの指令で喉の渇きを感じ、私たちは水を飲みたくなるのです。体内で濃くなったナトリウムを外部から補給した水で薄め、その後尿として体外に排出するというわけです。

そこで喉の渇きを癒すために水を飲むと、実は一時的に血圧は上昇します。水を飲むと一時的に体液量が増えるため、血管内を流れる血液量も増加して血圧が上がります。また、飲んだ水は血管壁を形成する細胞の外壁にも入り込むため、動脈先端の内壁細胞が膨張して血管が狭くなります。この狭くなった血管に増加した血液が流れるため、当然血圧は上昇します。

しかし、この場合の血圧上昇はあくまで一時的なもので心配は不要です。血圧の上昇は直ちに信号となり尿の排泄が促進され、等浸透圧の法則によって細胞外液の水分は内液へと移動し、血液量も浸透圧も正常に戻り、血圧も安定します。

ミネラル群は、ナトリウムが細胞内液から水分を引き出す力を緩和する役割を担っています。微量のミネラル(カルシウム、マグネシウム、カリウムなど)がイオン化した状態で水と一緒に細胞外液に補給されると、外液から内液への水やミネラルの移動が素早く行われるため、浸透圧が早く正常に戻り、すぐに渇きが収まります。

これがスポーツ飲料の原理ですが、市販の化学的なスポーツ飲料には疑問が残ります。つまり、塩化ナトリウムと同時に摂取できる熟成発酵塩は、血管への負担を大幅に軽減するということになります。

この効果は簡単に体感できます。精製塩を食べた場合は強い喉の渇きを感じ、水をたくさん飲んでもすぐにまた飲みたくなります。外食や塩辛いスナックに使われている化学調味料を含む塩を食べた経験がある方なら、この感覚に心当たりがあるでしょう。

一方、熟成発酵塩は吸収されるミネラルを含んでいるため、渇きの信号は弱く、すぐに喉の乾きは治まります。興味深いことに、子供は大人よりも味に敏感で、熟成発酵塩を与えると喜んで舐めます。子供はたくさん汗をかくため、こうしたミネラル補給が特に必要なのです。

まとめ

塩分の摂りすぎは高血圧の原因になると言われていますが、塩の種類によって体への影響は大きく異なります。ミネラルバランスの整った熟成発酵塩は、体内の水分バランスを適切に保ち、高血圧の予防に役立つ可能性があります。日々の食生活で使用する塩の質に注目することで、健康維持に一歩近づけるかもしれません。

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この記事を書いた人

地方の中小企業二代目社長。変化の波にもまれながら、社員と共に会社を成長させるべく奮闘する日々を送っています。

このブログでは、私自身が経営者として経験してきたこと、そして中間管理職の皆様が日々の業務で直面するであろう様々な課題に対するヒントを発信していきます。

世代間のギャップ、部下の育成、上司とのコミュニケーション、そして自身のキャリアアップ… 中間管理職の役割は多岐にわたり、その苦労は計り知れません。

時には悩み、壁にぶつかりながらも、なんとか乗り越えてきました。そんな経験を踏まえ、少しでも皆様のお役に立てるような情報を提供できればと思っています。

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