このコラムでは、日本古来から健康維持に役立てられてきたスギナについて、その栄養価値と様々な活用方法をご紹介します。現代の多くの健康問題の根本原因と考えられる「ミネラル欠乏症」の解決策として、スギナが持つ可能性について探ってみましょう。
現代病とミネラル欠乏の関係
現代社会では多くの方が様々な不調を抱えています。冷え性、筋力低下、甲状腺の問題、貧血、不妊、肌荒れ、便秘、結石、皮膚の早期老化、痙攣、腎臓疾患、骨の脆弱化、気管支炎、むくみ、アレルギー、不眠症、めまい、不整脈、疲労感など、枚挙にいとまがありません。
これらの不調の根底にある原因の一つとして、「ミネラル群の不足」が指摘されています。子どもの成人病や原因不明の健康異常についても、化学物質の過剰摂取とミネラル不足が関係している可能性があります。現代病は言い換えれば「ミネラル欠乏症」とも言え、スギナはそれを改善する力(ミネラル群)を秘めているのです。
スギナの豊富な栄養素
スギナは市販の野菜と比較して格別の存在です。その多様なミネラル成分の含有率の高さは驚くべきものがあります:
- ミネラル類: リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、鉄、亜鉛、銅、ヨード、コバルト、ゲルマニウムなど
- ビタミン類: ビタミンA、B1、B2、B3、B6、C、D、E、K、ニコチン酸、パントテン酸、ヨウ酸など
- 葉緑素(クロロフィル): 造血作用を促進し、血液の浄化に役立つ
特に注目すべきは葉緑素(クロロフィル)です。これはビタミンやミネラルではありませんが、様々な生理作用に関与します。最も重要な点は、造血作用を促進することです。多くの健康問題は血液の汚れに起因しているという見方があり、葉緑素による血液の造血・浄化は様々な慢性疾患の改善の基本になると考えられています。
葉緑素には、胃の不調改善、腎機能向上、皮膚修復、アレルギーや糖尿の消炎作用、解毒作用なども期待されています。スギナとともに葉緑素を豊富に含み、スギナには含まれない他のミネラル群を持つモリンガとの併用で、より高い相乗効果が期待できるでしょう。
血液浄化とスギナの関係
スギナやモリンガに豊富に含まれる葉緑素の内服は、病気改善の重要条件である「血液の浄化」に非常に効果的です。ビタミン、ミネラル、葉緑素を摂取することで、人体本来の機能を取り戻し、生理的活性の高い清浄な血液を作り出します。
多くの健康問題は血液の汚れ、つまり血液の酸化が原因であるという考え方があります。「万病は一元に発す」という言葉があるように、血液の状態が健康の基本となります。清浄な血液はPH7.2〜7.5の弱アルカリ性状態にあり、この環境では細菌やウイルスが繁殖しにくいとされています。
ケイ酸の重要性
スギナには、ミネラルの一種であるケイ酸が3〜16%も含まれています。ケイ酸は髪、爪、皮膚のほか、組織同士を結ぶ細胞に含まれる重要な成分です。このバランスが崩れると、記憶力の低下、細胞組織の化膿・炎症、抜け毛、爪の縦筋などの症状が現れることがあります。
生体に占めるミネラル群の割合はわずか0.02%ですが、それらは互いに拮抗作用をしながら生命活動において非常に重要な役割を果たしています。
スギナの実用的な活用法
スギナ茶の煎じ方と飲み方
スギナの恩恵を日常的に取り入れるには、お茶として飲用するのが最も簡単な方法です。重要なミネラル補給源として、可能な限り一年中飲むことをおすすめします。
スギナ茶を煎じる際の注意点:
- 鉄製の鍋は避ける(成分が変質する恐れがある)
- 耐熱ガラス鍋、高品質の土鍋、またはアルミ鍋を使用する
- スギナは過剰摂取でも害になることは少ないが、健康維持の一日の目安は10g程度
基本的な煎じ方:
- 乾燥スギナ10g(病気の方は20g)を目安に、20分程度弱火で煎じる
- 水の量は基本的に3合(540ml)だが、厳密でなくても良い
- 水分制限が必要な方や大量に飲めない方は、540mlが半分になるまで蓋なしで弱火で煮詰める
- 煎じたら茶こし器で濾す
- 3等分して1日3回、空腹時(食事の30分〜1時間前、または食間)に飲む
- 子どもの場合は、10歳前後で大人の半分、5〜6歳で3分の1を目安にする
- 原則として温めて飲む。作ったその日に飲むのが理想だが、飲み残した場合は2〜3日を限度に冷蔵保存し、温めて飲む
スギナ玄米茶レシピ
より多様なミネラルを摂取できる美味しいスーパーミネラル茶の作り方をご紹介します。
スギナ&野草&玄米茶の作り方:
- 乾燥スギナ茶葉をミキサーで粉砕し、粉末状にする
- 玄米と粉末スギナを適量混ぜ、フライパンで色づくまで炒める
- さらに多様なミネラルを補給するために、ハト麦茶、ヨモギ、クマザサ、ツユクサ、オオバコ、タンポポ、クコ、ドクダミなどを乾燥させ、スギナと混ぜることもできる
- 適量をティースプーンですくって急須に入れ、お湯を注いで飲む
スギナの温湿布レシピ
スギナは外用でも効果を発揮します。特に温湿布は様々な症状に対して有効とされています。
効果が期待される症状: 関節炎、リウマチ、肝臓病、腎臓病、リンパ腺炎、白血球増多症、腫瘍など
温湿布をがん治療に用いる場合は、乾燥スギナより葉緑素がそのまま存在する生のスギナの方が効果的とされています。カイロや温熱器などで40度以上を保持することが重要です。
スギナ温湿布の作り方:
- 乾燥・粉末状のスギナを一握り容器に入れ、少し熱湯を注いで全体を湿らせる
- ガーゼかさらし布にそれを包み、蒸し器で5〜6分蒸す
- 使い捨てカイロなどを包んだ布に当て、バンドで固定して患部に当てる
生のスギナを使用する場合:
- よく洗って1cm程度に切り、ガーゼかさらしに包む
- 蒸し器で5〜6分蒸す
- 使い捨てカイロなどを当て、バンドで固定する
スギナ風呂レシピ
スギナ風呂は、スギナの有効成分がお湯に溶け出し、体を芯から温めます。胃腸の不調、冷え性、リウマチの改善、美肌効果などが期待できます。
スギナ風呂の作り方:
- 乾燥スギナ100gをミキサーで細かくし、布袋に入れる
- 水を入れた鍋で一度沸騰させてから、そのまま丸ごとお風呂に入れる ※スギナ風呂の場合は、根茎を混ぜても構いません
良質なスギナの選び方
スギナの品質については注意が必要です。市販の乾燥スギナを調査したところ、多くがスギナ農園で栽培されており、価格も予想以上に高価でした。安価なものは海外産であることが多く、品質に不安が残ります。
農業の専門家によると、スギナ栽培では雑草も同時に生えてくるため、それらを分別する作業は非常に手間がかかります。そのため、スギナは枯れないが雑草が枯れる選択的除草剤を使用している可能性もあるとのことです。その場合、スギナに農薬が残留する恐れがあります。
理想的なのは、農薬や化学物質の影響を受けていない自然に自生するスギナです。信頼できる供給源から、できるだけ自然のままのスギナを入手することをお勧めします。
まとめ
スギナは豊富なミネラル、ビタミン、葉緑素を含む日本の野草で、古くから様々な健康目的に用いられてきました。現代のミネラル欠乏が引き起こす多くの健康問題に対して、スギナの活用は一つの自然な解決策となり得ます。
お茶、温湿布、入浴剤など、様々な形でスギナを日常に取り入れることで、体内のミネラルバランスを整え、血液の質を改善し、総合的な健康増進につなげることができるでしょう。
良質なスギナを選ぶことも重要です。可能であれば、自然に自生する無農薬のスギナを選びましょう。


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