カルシウムの真実と一物全体食の知恵:現代人が見失った栄養の秘密

現代の食生活において、私たちは「部分」だけを食べる習慣が定着しています。肉であればサーロインやロース、魚であれば身の部分だけを好んで食べる傾向があります。しかし、このような食習慣が私たちの健康に大きな影響を与えている可能性があることをご存知でしょうか。

目次

カルシウムの二面性:善玉と悪玉

栄養学研究によれば、カルシウムには実は二種類あることが分かっています[1]。一つは「善玉カルシウム」と呼ばれる非イオン化カルシウムで、もう一つは「悪玉カルシウム」と呼ばれるイオン化カルシウムです。

悪玉カルシウムは牛乳やサプリメントに多く含まれており、体内に摂取すると体組織に付着し、皮肉なことに体内の骨などから本来のカルシウムを奪ってしまうという問題があります。このことは、牛乳の消費量が多い国々で骨粗しょう症の発症率が高いという疫学的データからも裏付けられています[2]。

一方、善玉カルシウムは体内でしっかりと吸収され、健康維持に貢献します。しかし、現代の食生活ではこの善玉カルシウムが著しく不足しているのが現状です。

カルシウム不足がもたらす健康への影響

カルシウム、特に善玉カルシウムの不足は、以下のような多岐にわたる健康問題を引き起こす可能性があります[3]:

  • 骨の弱化(骨粗しょう症、虫歯、圧迫骨折)
  • 免疫機能の低下
  • 筋肉機能の異常
  • 神経伝達の障害
  • 視力低下
  • 血液凝固機能の異常
  • ホルモンバランスの乱れ(糖尿病などの発症リスク)

これらの症状は、現代人に広く見られる健康問題と一致しており、カルシウム不足との関連が示唆されています。

遊牧民に学ぶ「一物全体食」の知恵

岡山大学の岡崎好秀教授の研究によれば、モンゴルの遊牧民は野菜をほとんど食べないにもかかわらず、健康状態が非常に良好であることが報告されています[4]。その秘密は「一物全体食」にあります。

モンゴルの遊牧民は羊を頭から尻尾まで丸ごと食べる習慣があります。彼らは内臓や血液までも無駄にせず、全ての部位を食材として活用します。このような食習慣により、動物が草から摂取した栄養素を間接的に、バランス良く摂取することが可能になっているのです。

同様の食習慣は、極北地方に住むイヌイットの人々にも見られます。彼らはアザラシを丸ごと食べることで、野菜が育たない厳しい環境においても必要な栄養を確保しています[5]。

日本の伝統的な「一物全体食」

実は日本の伝統食にも「一物全体食」の知恵が息づいていました。煮干し、ちりめんじゃこ、ししゃも、干しエビなど、小魚を丸ごと食べる習慣は、日本の食文化に根付いていたのです[6]。

これらの食材には、身だけでなく、頭、骨、内臓など全ての部位に含まれる多様な栄養素が含まれています。特に煮干しは、良質なタンパク質に加え、海のミネラルや善玉カルシウムがバランス良く含まれており、一つの食材だけで多くの栄養ニーズを満たすことができる優れた食品と言えます。

現代の食生活への警鐘

現代の食生活では、部分的な食材選びに加え、「F1種野菜」と呼ばれる栄養価の低い野菜が多く流通し、また化学調味料の普及によって出汁を煮干しから取る習慣が失われつつあります[7]。これらの変化が、私たちの栄養バランスを崩し、様々な健康問題を引き起こしている可能性があります。

結論:シンプルな食の知恵に立ち返る

モンゴルの遊牧民や日本の伝統食から学ぶべきことは、複雑な栄養計算や多様な食材の摂取よりも、「丸ごと食べる」という単純な知恵の方が健康維持には効果的かもしれないということです。

特に煮干しは、手軽に入手でき、料理の出汁としてはもちろん、そのままおやつやおつまみとして食べることもできる優れた「一物全体食」です。古くからの食の知恵に立ち返ることで、現代人の栄養問題を解決する糸口が見つかるかもしれません。

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この記事を書いた人

地方の中小企業二代目社長。変化の波にもまれながら、社員と共に会社を成長させるべく奮闘する日々を送っています。

このブログでは、私自身が経営者として経験してきたこと、そして中間管理職の皆様が日々の業務で直面するであろう様々な課題に対するヒントを発信していきます。

世代間のギャップ、部下の育成、上司とのコミュニケーション、そして自身のキャリアアップ… 中間管理職の役割は多岐にわたり、その苦労は計り知れません。

時には悩み、壁にぶつかりながらも、なんとか乗り越えてきました。そんな経験を踏まえ、少しでも皆様のお役に立てるような情報を提供できればと思っています。

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